今日紹介するのは、竹宮ジン先生の「Girlish Sweet アタシノ彼女」です。

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この本は2010年発行のものです。
その前の年まで、著者が描いた同人誌をまとめて出したものになります。
短編連作形式です。
もちろん、描きおろしもばっちりついております。

竹宮先生といえば、様々なコミックを出している今注目のGL作家さんの一人です。
私も百合姫時代から愛読させてもらっています。
商業と同時に、今でも同人活動は続けている方になります。

恥ずかしながら、初めて同人の作品を拝見しました!

いや、びっくり!
元々、ストーリー展開が綺麗なお話を書く方だと思ってはいたのですが。

すっごいクオリティの制服百合が、すっごく綺麗にまとまって、すっごくきれいに幸せになってくれました。

うんうん。女の子は幸せにならないとね(個人的な嗜好です)

初めて、竹宮先生の作品を読む方にもおすすめです。
1巻でまとまっていますし、満足感を得られます。

これを機に、別の作品まで読むと幸せな百合畑が脳内に展開されるでしょう。

「Girlish Sweet アタシノ彼女」 著:竹宮ジン 百合的感想


1、主に三つのカップルを中心に描かれている

短編連作だけあって、様々なキャラクターが登場します。
その中でも主要なキャラクターは

表紙を飾った
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・加藤
・野中

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巻頭バカップル
・ミヤコ
・楓

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百合の王道
・花岡
・園原

の三つのカップルになります。

この短編連作の面白さは、繋がっていないと思っていた話が裏では繋がっていること!
最初読んだときは少しも気づきません。
読み進めるにつれ、「あれ、このキャラと、このキャラが知り合い?」とか「このキャラ、さっきもでてきた」という風になると事間違いなし。

一回読んだだけで関係を把握するのは難しいので、幸せな気分のまま二週目に突入することになるでしょう!

上のカップルたち以外にも、社会人百合枠「津田×木下」もあります。 
この二人も大好きです。
 
社会人二人組のくせに「運命」とか信じちゃうところが可愛くて仕方ないっ。

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社長なのに、つい「運命を感じて」木下を採用してしまう津田。
津田大好きな木下。
 
贅沢を言えば、もっとイチャイチャしている姿を見たかった気もしますが、そこは妄想で補いましょう!
それも百合を楽しむ醍醐味です。


2、カップルたちが織り成す様々な百合み

繰り返しますが、主なカップルは3つです。

・ミヤコ×楓
・花岡×園原
・加藤×野田
(個人的好みで並べています)


〇ミヤコ×楓

この二人は最初期に描かれた二人組です。
この後、登場する「花岡×園原」「加藤×野田」とはつながりはありますが、直接的な友人ではありません。

最初の数話をのぞいて、この二人が話に関わることはありません。
この後の話が、花岡たち4人で展開されるのと対照的です。

だからといって、魅力がないわけではありません。
むしろ、萌えポイントを全てついてくる二人です。

・生徒会長とスポーツ女子
・バレンタイン
・遠距離恋愛
・バカップル
 
と、「萌えシーンを好き放題に詰めました!」と言われても信じてしまうラインナップです。

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その中でも、私の一番好きなシーンは
「楓の告白を聞いて、つい見送りの電車に乗ってしまうミヤコ」です!

いや、やっぱり、これだよね。
ツンデレなミヤコが、ついつい楓の後を追って電車に乗ってしまうんですよ。
そのシーンからの告白までの流れが大好きです。


〇花岡×園原

さて次はこの二人。

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花岡 桔梗はテストを飛ばされ追いかけた先で花壇を世話する園原 香奈と出会います。
出会いこそつっけんどんな感じでしたが。
花岡は園原が気になり、花壇の手伝いを始めます。
そこに花岡の友達、加藤と津田、森も加わって話は進んでいきます。

ポイントとしては
・追試ギリの花岡と総代を務めた園原のギャップ
・花にだけ笑う園原に一目ぼれし、見事懐に潜り込む花岡
・いろんな人と仲良くなって、二人きりになれない状況にもやもやする二人

こうやってまとめてみると凄いですね。
見事に「素直じゃない女の子」と「それを受け入れる懐の深い女の子」の見たいシーンが入っている。
園原から、「人数多いと遊んじゃうから二人きりで勉強しよう」って誘うとことか、もう嫉妬丸見え悶えました!

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久しぶりの二人っきりにテンションが上がって押し倒してしまう花岡もグー!
いけいけ、ごーごー。お幸せに。


〇加藤×野田

さて来ました!
この二人が一番多くの話数が割かれている二人になります。
さすが、表紙を飾る人たちは違いますね。

この二人の関係はほかの二組とは少し違う始まり方をします。
いわるゆ「特別」なのは違いないです。
素直じゃない二人はそれが「体だけの関係」から始まってしまうんですね。

その後、二人の出会いや、野田の過去、好きな人問題が出てきたり。

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野田視点で、加藤がいかに「特別な女の子」なのか描かれたり。
話の内容としては重めなんですが、中身が甘いという砂糖漬けのお菓子を食べて気分になります。

話数が多いだけあって、描かれ方も丁寧ですし、心理描写も多いです。
過去の話とかもある分、理解しやすくて、さすが表紙!と思うこと間違いなし。

加藤の男前すぎるセリフが印象的です。
「私は加藤を幸せにすることができるの?」と心中で悩む野田に加藤は言います。

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「あたしはあたしの大切な人全部込みの幸せじゃなきゃダメだよ」

うーん、言ってみたい。
願い事は?と聞かれて「あたしの幸せ」って言いきりたい。
その上で、上の加藤のセリフをまるパクリした。

それにしても、大切な人全部込みの幸せじゃないとダメって、すごいですね。
優しいと言うか、欲張りというか、ここまで言い切れる潔さに目を惹かれます。


3、全てのつながりを意識して読むとさらによし!

短編連作だけあって、はっきりとしていないつながりも随所に見られます。
それを探していくのも楽しいです。

特に「野上 優子」「ゆかり」は重要人物です。
どう話が繋がっていくのか、ご自分の目で確かめてください。


〇まとめ

女子高生から社会人まで綺麗にまとまった作品。

読後感も幸せになれます。
寝る前にお気に入りの話だけ読んでも、いい夢を見ることができそうです。

是非、一読してみてください。



*ファス*