「女の子を好きな女の子を好きな女の子の話」と書くと女の子がゲシュタルト崩壊しそうですね。
今日は女の子を好きな女の子:風間 汐を好きな女の子:村雨 純夏の漫画「ささめきこと」1巻を紹介します。
(C)いけだたかし/メディアファクトリー「ささめきこと」一巻表紙
「ささめきこと」は百合の金字塔とも言えるべき名著であります。
2007年から連載され、9巻で完結しています。
きちんとハッピーエンドで終わっているらしいので、安心して読んでます。
一巻では主人公:村雨 純夏と親友で「女の子好き」を公言しいる汐の関係性にスポットが充てられています。
「女子高生同士の百合」というとマンネリのような気がしますが、「ささめきこと」はそこに恋愛漫画の要素を組み込んでいます。
普通の設定ですと「女の子を好きになる」という葛藤が大きなものです。
しかし「ささめきこと」ではその葛藤に加えて、「相手の好み」という問題が発生します。
これにより「百合漫画」でありながら「恋愛漫画」の要素が非常に強く感じられる作品になっています。
純夏の片想い、汐の恋愛事情、実際付き合っている二人組と見どころ満載の一巻をでした。
目次
〇ダイジェスト
〇おすすめ内容
1、「女の子を好きな女の子を好きな女の子」=純夏
2、恋の大変さは変わらない
3、謎の女子部活動
〇まとめ
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ダイジェスト
一巻には1~6話が収録されています。
1「ささめきこと」
風間 汐は図書委員会の同性の先輩に恋をしている。
村雨 純夏はそんな汐に片思いしているのだが、伝えられずにいた。
2「かわいいひとたち」
汐の好みと自分が重ならないことに落ち込む純夏。
そんな純夏を好きだという男子も現れ……。
3「ファーストキス」
教室でキスをしている二人組を見てしまった純夏たち。
そこからキスの話になってしまう。
4「4+1」
女子部を立ち上げようと奔走する純夏。
汐のためなら何でもする覚悟だが。
5「friends」
女子部は認可されなかったが、友人になった4人。
純夏と汐の家庭の事情が明かされる。
6「二人の夜」
失恋した汐を慰める純夏。
親友の二人の夜。
この他、話の間に「蛇足」とは名ばかりの素晴らしい1P漫画が入っております。
ちょっとした日常の一コマなんですが見逃せません。
おすすめ内容
1、「女の子を好きな女の子を好きな女の子」=純夏
百合の醍醐味がなんであるか、それはそれぞれの百合により異なると思います。
しかし、一つだけ確かなことがあります。
それは「百合」とついている時点で大なり小なり「女の子同士の感情」を扱っていることです。
その感情の種類によって「恋愛」だったり「友情」だったり「主従」だったりすると私は思っています。
「ささめきこと」では汐という自分の性癖を隠していない女子高生が出てきます。
彼女は1P目からこう言い放ちます。
(C)いけだたかし/メディアファクトリー「ささめきこと」1巻より
純夏が受け止めてくれると分かっているとはいえ中々勇気がいる発言です。
通常の百合漫画ですと、この汐こそが主人公になります。
彼女の恋がどうやって実るかをじっくりみていくわけです。
ですが「ささめきこと」は、そんな汐に恋をしている純夏が主人公です。
最初は読み切りだったということで1話はここで終わっても違和感の無いまとまり方をします。
汐を好きな純夏の感情が一話丸ごと使って、丹念に描かれます。
その上、汐の片想いの話も入ってきて1話だけで百合分を2つも補給できる仕様に。
こんな良作百合漫画を読まない手はありません!
2、恋の大変さは変わらない
「ささめきこと」の注目すべき点は「同性好きを公言している少女相手でも恋の大変さは変わらない」ということでしょう。
拒絶されることや、気持ち悪いと言われる可能性はかなり減ります。
減りますが、それだけです。
「告白を受け入れてくれるか」は全く別次元の問題になります。
汐が色んな「可愛い子」にふらふらしているのを見守る純夏の気持ちを考えると切ないです。
汐の好きなタイプが自分とは全然違うことが分かりますし、失恋したとき慰めたりもします。
普通であれば、好きな子の失恋はチャンスかもしれません。
ですが、純夏にとっては違います。
汐がいくら失恋しても自分を好きになってくれることはないのです。(少なくとも純夏の中では)
(C)いけだたかし/メディアファクトリー「ささめきこと」1巻より
「可愛い子好き」を公言する汐と「カッコいい系女子」である純夏。
二人の恋がどのようにまとまるのか目を離せません。
3、謎の女子部活動
シリアス気味に進行する二人の恋とは裏腹にもう付き合ってる二人組も登場します。
みやこと朋絵の二人です。
この二人はもう公認されています。
(C)いけだたかし/メディアファクトリー「ささめきこと」1巻より
「めくるめく百合の世界へ」いざなってくれる二人ですね。
この漫画根本がシリアスだけども、表面がコメディに進んでいくので暗くなりすぎず読みやすいです。
そのバランスに大きな役割を果たしているのがこの二人です。
この二人が出るまでのお話は汐と純夏の話だったので、シリアスに進行していました。
しかしこの二人が「女子による女子のための部活」である「女子部」を立ち上げようとする処から雰囲気が変わり始めます。
友情百合も加わり百合分が過剰状態に……!(いいぞ、もっとやれ)
今までずっと一緒にいた純夏が離れて少し寂しそうな汐の表情とかも見れます。
「離れてから大切さに気付く百合」ですね!大変いいと思います。
まとめ
「ささめきこと」
最初はタイトルからもっと耽美な感じかと思っていたのですが、思ったよりあっさり読めます。
これならば入門編として推してもいいかもしれない。
百合目当ての方はもちろん、お話としても面白いので多くの人に読んでもらいたい話ですね。
二巻の進展が楽しみです。
⇒「GIRL FRIENDS」:王道女子高生百合
⇒「ワールズ・エンド」:断ち切れない想い
⇒「ブルーフレンド」:依存に足を突っ込む百合
*ファス*
を読み返して見ました。
やはり1話の王道っぷりに引き込まれます。2話以降はおっしゃる通りコミカルな展開のおかげで読んでいて楽しいですよね。
「ずっと友達でいてね」
この近くて、けれども遠い関係が
切なくてたまりません。