今日紹介するのはこちら!

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『あの娘と目が合うたび私は』

百合単行本のタイトルと表紙で大方の出来栄えが予想できる超能力に目覚めそうな私です(笑)
そんな私が選んだ社会人百合アンソロジーの一冊になります。
そして、見事期待に答えてくれました。百合作家さんたち、ありがとうございます!
読む前にまず驚いたのは作家陣の豪華さです。

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なんと16人も参加しています。
百合好きならば聞いたことある名前ばかりです。
この方達が尊い社会人百合を描いてくださってるんですよ!

元から好きだった作者さんの作品を楽しんでもよし。
新しい作者さんで好みの百合を見つけるのもよし。
一冊で何度も楽しめる作品です!


目次
◯『あの娘と目が合うたび私は』オススメ内容
1、14種類の社会人百合が楽しめる!
2、ピュアだけじゃない、大人の恋愛!
3、一歩を踏み出す勇気をくれる!
◯まとめ


『あの娘と目が合うたび私は』オススメ内容

1、14種類の社会人百合が楽しめる!

嬉しいことに百合アンソロジーは多種多様なものが現在出ております。
学生百合はもちろん、彼女になった気分を味わえる『ユリカノジョ』なんてものもあるくらいです。
アンソロジーの一番の楽しみは、やはり色々な作品を読めること!
内容はぜひ読み通してほしいので、ざっくりとしたあらすじと感想を書いておきます。
参考になれば幸いです。

はるかわ陽「マスキングレディ」
・あらすじ
イラストレーターの元に仕事の依頼が入る。
顔出しNGで売り出している歌手のジャケット写真を描いてほしいとのこと。
断る気だったが、試しに曲を聞いたら凄く好みで――

・感想
もうね、言うことはほぼありませんよ。
萌える!
ただ、これだけで言い表せる百合漫画です。
設定がイラストレーター×歌手な時点で、外れるわけがない。
この後、曲に惚れたイラストレーターが売れるように頑張ってイラストを作るとか。
実は歌手も昔からイラストレーターのファンだったとか。
鉄板を外さない、ラブストーリーを見せてくれます!


みかん氏「ある会社の彼女たちのこと」
・あらすじ
失恋を忘れるために行きずりの関係を持ってしまった。
もう会うこともないだろうと、名乗りもせず、会社へと向かう。
すると、そこにはさっき別れたはずの彼女がいて――

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・感想
大人じゃないと描けないストーリー展開に、これぞ社会人百合という気持ちになります。
失恋を癒やすための行きずりの関係とか。その後、まさかの再会を会社で起こすとか。
社会人百合だからこそ味わえるビターで気まずい、そのくせ甘い展開が目白押しの短編です!


irua「みんな損してるよ」
・あらすじ
会社のトイレで行われる女子会。
そこでやり玉に上がるのは、厳しいことで有名な専務だった。
真面目で厳しい専務に女子社員の印象は良くない。
だけども、そんな専務の隠れた一面は――

・感想
年の差百合が入りましたー!
学生百合では中々見られない年の差を、ぽんと入れることができるのも社会人百合の醍醐味です。
会社での姿とプライベートの姿が違うのも社会人ならではでしょう。
今回は天然扱いされている女子社員だけが知る、怖い専務の裏側を見ることができます。
いやぁ、ギャップの破壊力って凄いですね。タイトルにも納得の作品です。


鹿嵐「魚と水」
・あらすじ
地元に規制していた元同級生と再会して連絡を取り合うようになった。
彼女に誘われるまま、東京へと遊びに行くことに。
全部エスコートしてくれる優しい彼女に恋してしまったが、自分との違いに段々と苦しくなってしまい――

・感想
私の中で勝手に大人女子の泣き顔に定評のある鹿嵐さん!(詳しくはこちら→泣き顔に萌える百合はいかが?『シュガールーム』
今回も、非常に見応えのある女の子の涙が見れました。
鹿嵐さんの作品はいつもストーリーがしっかりしていて、その上、百合の関係性を際立たせてくれます。
大人だからこそ感じるコンプレックスと恋心を上手に描いた作品です。
シリアスな場面なのにニヤニヤしてしまう百合みに帯びています。


瀬田せた「メーター・ストップ」
・あらすじ
大きな仕事のため徹夜続きで資料を作っていた。
大事なプレゼンの当日、タクシーで相手の会社に向かおうとする。
なんと、その運転手は以前ライバル視していた同僚だった。
時間に余裕がない中、確認したはずの資料に致命的なミスを見つけてしまい――

・感想
瀬田せたさんは百合鍵という作品を作られた方(詳しくはこちら→「」)
pixivの連載の時から読んでいました!
ギャップのある美人さんを描くのが凄く上手いです。
今回も、バリバリ働いていた同僚がなぜ辞めてタクシー運転手になったのか、シリアスになりすぎず描かれていますよ。


くわばら たもつ「ブルーベルズで待ってる。」
・あらすじ
絵描きとして食べていくため、似顔絵描きをしている画家。
彼女には密かに描きたいと思っている女性がいた。
コーヒーショップの店長をしている彼女を見つめる日々。
そんなある日、下手なナンパを店長がされているのを見てつい助けてしまう。
二人の距離は縮まるのか――

・感想
なんか、一番ジンと来たお話でした。
ストーリーは王道の恋愛漫画のようです。
それが社会人、そして百合というファクターが加わるだけでこんなにも尊いものに変化するとは驚きですね!
読み切りでもストーリーがまとまっていますが、長編で読みたくなる作者さんです。


冬芽沙也「よくできました。」
・あらすじ
キラキラしている同僚と仲良くなりたくても、中々手を伸ばせずにいた。
飲み会で出身が一緒ということで会話が弾み、ぐっと距離が近くなり、二人には決まりができた。
「よくできました」とお互いに褒め合う週一の飲み会を楽しみにする日々。
だが、その会で「告白された」と相談され――

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・感想
百合の鉄板、「異性からの告白」を上手に使った傑作短編です。
社会人になると、中々自分を褒めるのは難しくなります。
それをしてくれる人がいるだけで日々は潤うというものです。
社会という荒波を渡る方法を教えてくれるような短編で、勇気を出す場面に胸が熱くなります!


えすえす「ガチンコ同窓会! オノロケバトル」
・あらすじ
高校の同窓会として集まった4人。
遅れてきた竹中に突っかかる西森。
この二人は女子高校生時代から、ずっと喧嘩をしているような二人だった。
「いい加減仲直りすれば?」と言えば、二人の告白大会が始まり――

・感想
タイトルからワクワクが止まりません。
同窓会とオノロケバトルと来たら甘々な展開かと思いますよね?
同窓会で始まった告白大会の甘い空気に悶ながら、話はさらに展開していきます。
最終的には「ケンカップルバンザイ」と叫ぶことになるでしょう。
ニヤニヤできるお話です!


奥たまむし「雨の日、まぼろし」
・あらすじ
雨になると思い出す。
たった一回の過ち――

・感想
短い!だけど、百合が凝縮されております。
社会人百合だからこそ描けるテーマの一つ「不倫」が描かれています。
続きが色々妄想できるお話です。


みずあそう「無自覚の君」
・あらすじ
「先生みたいな教師になりたいです」
そう言った教え子が、本当に教師になって帰ってきた。
同僚となり近くなる距離感。教え子のときから、無意識に好意を向けてくれていた相手。
気にならないわけがない。
生徒たちにも感づかれ始める中、等々我慢できなくなり――

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・感想
いや、萌える。やれ、萌える!
社会人百合の良い所を凝集したような作品です。
無自覚というのは、百合でよく使われる要素ですが、そこからの展開はキャラクターによって様々です。
今回は生徒のときから真っ直ぐ無意識に好意を向けてくれる生徒が、同僚になるという設定!
無意識だからこそ出てくる戸惑いやすれ違いにキュンキュンします。
こんな素敵な先生たちがいたら、妄想しまくりですね(笑)


さつま揚げ「1Kのお城で」
・あらすじ
友人とルームシェアを初めた。
段々と変わっていく気持ちに逃げて、別の部屋へと引っ越した。
司書として一生を終えようと仕事に励む日々の中、ある日部屋に帰ると逃げた相手が待っていた――

・感想
さつま揚げさんの百合はファンタジーではなくリアルに描かれます。
今回も期待を裏切らず、社会人ならではの葛藤に心を動かされます
シリアスな導入部と中身のほっこりさのギャップがたまりません!
詩的な雰囲気を感じるお話です。


鈴木先輩「いとおかし」
・あらすじ
お菓子会社で働く日々。
ある日、自分の作ったグミが好きだという後輩が入ってきた。
自分の作ったお菓子でも、甘いものを好きになれないコンプレックスに、つい強い口調で言い返してしまい――

・感想
優秀な後輩が入ってくると、仕事が楽になると同時に、コンプレックスが刺激されます。
どうしても自分と比べてしまうんですよねー。
そんな相手から好意を持たれた時に素直に喜べないのが大人の悲しさ。
それを乗り越えられるかどうか、最後までドキドキする作品です。


くるくる姫「先輩社員をひーひー言わせたいっ!」
・あらすじ
同じ営業で働いている二人は恋人同士。
二人には「成績が上の方がする時も上になる」という約束があった。
先輩を超えることができないため、毎回下に甘んじている猪熊は今回こそはと営業を頑張る。
大口の契約を取って、上になることができるのだろうか?

・感想
タイトルを叶えるために主人公が努力をするお話です。
先輩も主人公である猪熊もバリバリ働いている女性。
そんな二人が、小さな約束のために頑張る姿が非常に燃えたぎります!
先輩の想いも織り込まれていて、非常に楽しみながら読むことができました。
仕事を頑張りたくなるお話です。


由姫ゆきこ「直送ラブレター」
・あらすじ
郵便局で働く白木には毎日楽しみにしていることがあった。
美人でキャリアウーマンの黒崎が郵便を出しに来ることだ。
ある日、いつものように受け取った郵便の中に白木宛のプレゼントが入っていた。

・感想
ラブレターなんて、ほとんど聞かない単語になりました。
今回はそこを上手く使ったお話になります。
便利な世の中でも直に渡されるものって、やっぱり嬉しいですよね。
ちょっとしたことから関係が変わる――勇気の大切さを教えてくれる作品です。


2、ピュアだけじゃない、大人の恋愛!

社会人百合と学生百合の一番の違いは、やはり幅の広さ!
学生百合の場合、年齢は離れても2,3歳です。
社会人百合は、10歳とか普通に離れることもあるわけですね。
立場もキャラクターによって色々変わります。
同僚から、先輩後輩、元同級生、ライバル、などなど。
様々な角度から百合を楽しむことができます

「マスキングレディ」「ある会社の彼女たちのこと」「魚と水」はこの社会人百合の特性を非常に生かしている作品です。

「マスキングレディ」では仕事を通じての出会いが、ビックリくらい順調に仲を深めていきます。
自分の好きという気持ちを仕事として消化して、それが良い方向に成るなんて、社会人だからこその楽しみです!
イラストレーターと歌手という夢のある仕事なのもワクワクしますね。

「ある会社の彼女たちのこと」は一転変わって、大人だからこその恋愛です。

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失恋を忘れるための一夜のはずが、まさかの朝同僚として会うことになるという気まずさ!
絶対に経験したくない場面です。それが他人のことになるとニヤニヤしながら見れてしまいます(笑)
もう失恋はしたくないと逃げる主人公と、追ってくる相手のグイグイ感が堪りません。
大人な百合が見たい方はぜひ読んでみてください。

「魚と水」では、女の子の同士のコンプレックスを上手に描いてくれています。
上でも描きましたが、鹿嵐さんは女の子の涙を描くのが本当に上手です!
大人になれば立場は変わります。
同じ高校生で、同じラインにいたはずの人が、全然遠くに感じることも。

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↑一番共感した部分。大人はどうしても自分自身を責めがちです。

そういうコンプレックスと恋心にどう折り合いをつけるか、それが大人ってことなんですねと納得できるお話!
女性の場合、立場の違いに考え込むことは多いと思います。
いやぁ、自分の心に向き合える大人って素敵です。


3、一歩を踏み出す勇気をくれる!

社会人百合アンソロジーとして非常に読み応えのある一冊です。
14作品が詰まっていますが、そのどれも一歩を踏み出す勇気を教えてくれます。
子供の頃は誰かが正しい道教えてくれたりしました。大人になるとそんなものはありません。
社会人百合の一番の違いは、色々な事情を抱えながらも一歩を踏み出すことができる部分なのかもしれませんね。
踏み出させるよう色々と策をめぐらすキャラクターもいたり
本当に社会人百合の楽しみは尽きません。
お気に入りの話を見つけて、日々を生きる元気をもらいましょう!


まとめ


社会人百合に飢えて、つい買ってしまった一冊。
非常に楽しめました!
短編ながらストーリーがしっかりしていて、作家さんの個性も感じられるお話ばかりです。
色々な社会人百合を見たい!
社会人百合に癒やされたい!
ちょっと大人な百合が見たい!
という方は買う価値に溢れる一冊でした。


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