カクヨムで百合小説を漁っていたら、百合好きならば読まなければならない小説を見つけてしまいました!
その名も【ふつおたはいりません!】
27才崖っぷち声優と17歳アイドル声優のお仕事小説です。
アラサー、声優、崖っぷちと色々な面で追い込まれている吉岡奏絵の視点で物語は始まります。
30という年が近くなると色々考えてしまうのが女性です。
一度はヒロイン役として抜擢されるも、それ以後右肩下がりの声優人生を歩いてきた彼女は、声優として食べていく夢を諦めかけています。
生活のためコンビニでアルバイトをして生計を立てる日々……。
そんな彼女のもとに舞い込んできた仕事が【ラジオ】でした。
しかも、相方となるパーソナリティは17才で人気アイドル声優の佐久間稀莉。
自分とはまったく違う声優人生を歩んでいる女子高生声優と、声優人生をかけた仕事が始まります。
――もうね、この二人に百合が芽生えるだけで嬉しいのに、アラサー女子として、仕事に一喜一憂する吉岡さんに共感しまくりですよ!
目次
◯【ふつおたはいりません!】とは?
◯【ふつおたはいりません!】オススメ内容
1、大人女子が笑えて泣ける、共感しまくりのお仕事小説
2、百合でしか表現できない女子の面倒臭さと絆を表現!
3、きっちり付き合うし、親公認になるし、問題山積み!
◯まとめ
【ふつおたはいりません!】とは?
【ふつおたはいりません!】とは?
カクヨムで連載されている百合小説になります。
これを見つけただけで、カクヨムを使ってよかったと思える作品です。本当にこういう小説が無料で読めるんだから、嬉しさも天元突破ですよ。
できればアニメ化して欲しい、というか、ドラマ化でも良い!
30代で仕事に生きてきた女子の悩みを詰め込んだような作品なので、百合以外にも推せるポイントばかりです。
【ふつおたはいりません!】は、アラサー女子が共感するポイントを痛いほど突いてきます。
読んでいて泣ける小説は久しぶりでした。
恋愛部分じゃなくて、仕事の部分で泣けるのが新鮮です。
私、恋愛小説にしろ、恋愛映画にしろ、あまり泣けた時がありません(百合、ノーマル問わず)
この作品を読んで原因が明確に!
――共感できるかが大きな差。共感できれば自然と涙は出てくるものですね。
現在も連載は続いてまして、今は4部が更新されています。
138話(2019/10/23現在)と話数もたっぷり。
更新も頻繁なので、二人の物語を一緒に味わうことができます。
アラサー女子、声優、年の差百合、泣きたい、笑いたい……などなど、全方位の方に楽しめる小説です!
【ふつおたはいりません!】オススメ内容
百合小説の数も大分多くなってきました。
百合タグや、ガールズラブタグを付けられているものも多くなり、百合好きも百合を補給しやすい世の中になっています。
しかし残念なことに、たった一つの作品でアラサーになった女性が共感して、泣いたり笑ったりできる良作は、まだ少ない!(もし知っていたら教えて下さい。見に行きます)
社会人百合の数もとても増えました。
OL同士だって、年の差だって、同棲してるのだって、結婚しているのさえ、現在の百合界には存在しています。
これだけでも十分萌えます。生きる糧になりますよ。ええ、もちろん!
それでも人は贅沢な生き物です。
たった一作品で、恋愛の始めからイチャイチャ、そのうえ、仕事の悩みや挫折までカバーしたい。
そんな想いが湧き出てくるものです。
あると思いませんでした。
あると思ってなかったんですよ。
でも、あったんです!
それが【ふつおたはいりません!】になります。
声優業界だと、共感できないんじゃないの?と思う人もいるかもしれません。
確かに普通のOLと声優業界は違うでしょう。
しかし彼女たちが仕事がない、夢を諦めなきゃいけないと悩む姿は、万国共通です。
大人にも、大人だからこそ、泣きたいときはあります。
大人にも、大人だからこそ、しなきゃいけないことはあります。
仕事に恋に、真剣に向き合えば向き合うほど、そういう場面は増えるもの。
大人って、大変。だから、真剣になれるんです。
2、百合でしか表現できない女子の面倒臭さと絆を表現!
さて、お仕事小説としていかに【ふつおたはいりません!】がアラサー女子の共感ポイントとついているか書きました。
次はお待ちかねの、百合好きをメロメロにする百合部分の紹介です。
百合の楽しみは、二人で完結する関係性にあると思うんですよね。
女の子ふたりがいて、そのふたりだけで世界が完璧であるかのように見えてしまっている関係。
それが私が好きな百合の形です。
具体的にいえば、その子の設定が性別変わっても大丈夫だったり、他の子でもいいような作品だと百合分が減る……気がする。
まぁ、女の子同士がイチャイチャするだけでも嬉しいのも事実(嬉しくないわけがない!)ですし、『百合とは?』を議題にすると色んなところで論争が起きるので、一度この話は置いておきます。
あらためて【ふつおたはいりません!】の二人を見ていきましょう。
・吉岡奏絵
27才、独身、青森出身
声優デビューして2作目で、主役に抜擢されるも、それ以後とくにパッとする仕事なし。
声優だけでは生活できず、コンビニでバイトをしている。
地元の友達は結婚したり、親から心配の電話が来たり、踏んだり蹴ったりな日々。
声優をやめて地元に帰ろうか悩んでいたところ、新しいラジオのパーソナリティの仕事が決まる。
・佐久間稀莉
17歳、女子高生、東京出身
母親は女優、父親は映画監督の芸能一家に生まれる。
子役としてデビューして声優へ転向後、何本も人気アニメのキャラクターを担当する。
高校生になってもコンビニに入ったことがないお嬢様。
演技をすることは得意でも、ラジオなどの自分を出してしゃべることは苦手。
おお、書き出してみても正反対に近い二人ですね。
吉岡さんが持つアラサーの悩みは数多くの女性が頭を痛めるところでしょう。
この接点が何もなさそうな二人が、声優ラジオを始めるという場面から話は始まります。
声優が好きな人ならば、一度は聞いたことがあるだろう声優ラジオ。
私も好きで結構聞いてました。
パーソナリティの数や、声優さんのキャラクターでかなりのバリエーションがあります。
百合っぽく聞こえるラジオもたくさんあり、作中でも言われるように『百合営業』が数多く行われる場所です。
ラジオって映像がない分、聞いていて楽しいかってパーソナリティさんの腕によって全然違います!
吉岡さんも声優人生をかけた仕事なので「とにかく面白いラジオにしたい!」と始めから気合十分。
しかし、相方の稀莉ちゃんはがしゃべるのが苦手です。そのうえ、吉岡さんにも全然なついていない状態、というより生意気な態度を取ります。
イラつきながらも、どうやってラジオを面白くするか考え、稀莉ちゃんにぶつかっていく吉岡さん。
ここからラジオが面白くなり始め、稀莉ちゃんとの関係も少しずつ変わっていきます。
この【ふつおたはいりません!】では、話の合間にふたりがパーソナリティを務める「これっきりラジオ」が、実際のラジオ番組のような形式で描かれています。
つまり、しゃべりだけの部分があるわけです。こういう感じ↓
奏絵「」
稀莉「」
二人の軽快な掛け合いはラジオを聞いたことがある人なら、脳内で再生できるレベル。
内容も面白いので、ぐんぐん物語に引き込まれていきます。
ラジオの収録を通して、ふたりの距離が近づくのがわかるので、読んでいるだけでニヤニヤできる優れものです。
そのうえ、ふたりの距離が縮まるごとに稀莉ちゃんの新しい側面も見えてきます。
実は稀莉ちゃんは生粋のツンデレ。
吉岡さんに冷たく当たってしまうのも、元々憧れの人だった吉岡さんにデレデレしないためです。
こんな百合好きの胸を打つ設定があるでしょうか?!
吉岡さんにとって、稀莉ちゃんは声優人生を諦めずにすんだ、かけがえのない人。
稀莉ちゃんにとって、吉岡さんは声優になることを決めた、運命の人。
お互いが、お互いじゃないとダメな二人の百合。
存分に堪能してください!
3、きっちり付き合うし、親公認になるし、問題山積みだし!
吉岡さんと稀莉ちゃんは互いにとってかけがえのない存在、これは間違いない!
この美味しい部分を【ふつおたはいりません!】はじっくりじっくり、味あわせてくれます。
1部から4部まで連載されており、それぞれの内容はこんな感じ。
1部 ふたりの出逢い~ラジオが軌道に乗るまで
2部 ネズミーデート~ラジオ公開収録での告白
3部 稀莉ちゃんに役を奪われる
4部 吉岡さん歌の才能発揮
基本的に、全部イチャイチャしてます。
1部では、さすがに出会いからラジオが軌道に乗るまでの話なので、そこまでイチャイチャしてない……と思ったらしてるよ。
読み返してみたら、結構イチャイチャしてました。
というか、ラジオの内容がイチャイチャしてるので、やっぱり基本的にはイチャイチャしている内容です。
ここに吉岡さんの仕事に対する熱い気持ちとか、稀莉ちゃんが声優になった理由とかを上手く組み込んでるって凄すぎる。
1部はとにかく仕事中心。声優ラジオをそのまま聞いて、ふたりの仲が深まっていく様子を覗き見している気分です。
吉岡さんは切羽詰まった状況なので、とても卑屈になっているんですが、ラジオのため稀莉ちゃんため奮闘しているうちに徐々に変化していきます。
吉岡さん、いい人です。
2部になると、いきなり吉岡さんがネズミーデートを楽しみにしている稀莉ちゃんのために母親と直接対決!
稀莉ちゃんの母親は、大女優さんなので、吉岡さんのドキドキも高まるばかりです。
お家訪問で彼女のお嬢様っぷりを目の前にしたり、順調に仲が深まります。
稀莉ちゃんが吉岡さんを好きだという表現も、ちらほら出始めて、まさしく「キマシタワー」気分になれる部分です。
2部の最後では、百合好きでも信じられないくらいの告白回もありますから、見逃さないように!
3部、4部では、とうとう付き合い出したふたりの前に次々と難問が降りかかってきます。
イチャイチャで幸せそうなカップルの前には、困難が必要。その方が百合好きも楽しめまるってものです。
2部までのイチャイチャっぷりからの急展開には、しっかりついてきてください!
私が泣いてしまったのもこの部分です。
泣きっ面に蜂とはよく言いますが、苦しいときには苦しいことが重なるもの。
仕事で希望を奪われ、親は倒れ……とんでもない状況の中でも、絆を深める二人の姿に、心が揺さぶられます。
ここまで人を信じれて、愛せるってすごい。
そのうえ、仕事で絶望的な思いをするってことは、それだけ仕事に真剣だからこそですよね。
自分の心構えも、考えさせられる展開ばかりです。
連載中の現在は、稀莉ちゃんに初めてといえる壁が立ちはだかっています。
順調に来た子だけに、どうなるかハラハラして仕方ありません!
この二人なら乗り越えていってくれると信じて、展開を待ちましょう。
まとめ
社会人、JK、年の差、声優と百合ゴコロをくすぐる要素がてんこ盛りの作品です。
声優さんが好きな人、声優ラジオを好きな人は、読んでいるだけで楽しめる場面がたくさんあります。
あまり触れたことがないジャンルという人でも、27才と17才という年齢差に四苦八苦しながら、奮闘する吉岡さんの姿に共感間違いなし!
何よりツンデレしている稀莉ちゃんも、付き合ってから愛が重くなる稀莉ちゃんも、全部がかわいいんですよ!
17才お嬢様女子高生声優とアラサー声優の百合を見逃す手はありません。
こんな小説が普通に無料で眠っているなんて……カクヨム、恐ろしい場所です。