トクヲツムさんの『伊勢さんと志摩さん』をご存知ですか?
いや、知らないなんて、そんなことないですよね。
少なくとも、こんな百合ブログに来てくださる方ですもの。

ざっくり、説明させてもらえば、先輩と後輩の百合を描いた『終電で帰さない、たったひとつの方法』の作者さんです。
そのトクヲツムさんがコミックトレイルで連載しているのが『伊勢さんと志摩さん』

百合じゃないんです。
百合じゃないんですけど、非常に百合みに溢れた作品になっていますよ!
少し込み入った社会人百合を探している人には、ぜひ読んで欲しい。



単行本にもなってます!
とりあえず、Web連載が無料で見れるので、早速読みたい人はどうぞ(→『伊勢さんと志麻さん』コミックトレイル

特に今回更新されている15話は、いろんな人に読んで欲しいと思ってます。
ルームシェア始める前の話になります。

元々、伊勢さんと志摩さんは高校の時の同級生。進学とともに連絡もとらなくなるくらいの「知り合い」でした。
それなのに、社会人になってから同じ職場になって、ばったり再会します。
伊勢さんが志摩さんの教育係になったり、仲を深めるうちにルームシェアをするって話です。

15話はこのルームシェア前のお話。
ここに百合みというか、尊みが詰まってます。

百合じゃないんだけど、百合みはすごい!
そんな異端作を一緒に楽しみましょう。


目次
◯『伊勢さんと志摩さん』とは?
◯『伊勢さんと志摩さん』オススメ内容
1、二人で色々チャレンジ!
2、正反対だけど気の合う二人のルームシェア
3、百合って欲しいような、このままでいて欲しいような絶妙なバランス感覚
◯まとめ


『伊勢さんと志摩さん』とは?


トクヲツムさんが、コミックトレイルにて連載中の作品になります。
無料で何話か見れるので、ぜひ確認してみてください!
(→『伊勢さんと志麻さん』コミックトレイル

まず最初に「この作品は百合じゃありません」とお伝えしておきます。
いや「百合じゃありません」は語弊があるかな。
女性二人が主人公ですし、片方は「女の子が好きな女の子」です。
ここが普通の百合漫画と少し違うところになります。

「女の子が好きな女の子」って、女の子だったら誰でもいいと思われているときがあります。
百合の普及で、そういう偏見も大分減ってきました。それでも、まだそういう扱いがあるのも事実。

『伊勢さんと志摩さん』では、異性愛者の伊勢さんと同性愛者の志摩さんが、恋愛関係じゃなく友情でつながっているんですよ!
二人の関係の素敵さが、じんわりと心に染みます。

今までは明言せずに話は進んできました。
15話では、そこらへんに踏み込んでて、尊み爆発です。
ちょっと違う社会人百合を補給したい人は、ぜひ読んでみてください。


『伊勢さんと志摩さん』オススメ内容


1、二人で色々チャレンジ!

大人になってから、チャレンジするって難しいと思いませんか?
学校に通ってたころは、毎日のようにチャレンジでしたよね。
知らないこと、できないことを、知っていること、できるようにする。
そういう場所が学校です。

社会人になると、同じような毎日が過ぎ去っていくだけ。
波風が立たないのは、いいことなのか、どうなのか。
ちょっと首をかしげたくなる人も多いと思います。

伊勢さんと志摩さんも、そんな社会人女性です。
仕事も安定してる。毎日に変化もない。つまり、退屈。
そんな二人が、ふたりになることで、いろんなことにチャレンジします!

もうね、この設定だけで百合でしょ?
実際、ひとりだとハードルが高いことって結構あります。
日本は、“おひとりさま”に優しい国ですが、女性ひとりでチャレンジするのは、なかなか勇気がいることです

「すこしだけ、毎日を変えてみたい。だけど、ひとりは、ちょっと……」

そんなときに、伊勢さんと志摩さんは再会します。
この二人、高校のクラスメイトでした。三年生のときには、委員会も一緒になっています。でも、実際話したことはあまりない。
いわゆる、違うグループに所属していたんですね。こういうの、あります。とくに女子だと。
集団行動が多くなるんで、どうしてもグループ外の人とそこまで話さないんですよね。
ここらへんも、話が進むにつれて、どんな雰囲気だったのかでてきます。

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(C)伊勢さんと志摩さん/トクヲツム

本人たちも自覚しているんですけど、このふたり、すごく気が合うんです。
学生時代はグループが違ったから話さないだけ。
そんなふたりが、社会人になってから、ふたりで色んなことにチャレンジするんですよ?
そりゃ、百合みにあふれた話になりますわ。


2、正反対だけど気の合う二人のルームシェア

上でもちょびっと書きました。
伊勢さんと志摩さんは、正反対だけど、とても気が合います。
気が合うというより、馬が合う。一緒にいて楽なんですよ。

ここで、ふたりの基本情報を確認します。

・伊勢さん
ボーイッシュな格好。
可愛い格好に憧れはあるが、好きなのはカジュアル系。
いちおう、中途採用の志摩さんの教育係。
人を見る目はあるけど、男運はなさ気。
懐の深さが半端ない。

・志摩さん
フリルやレースが大好きな、可愛い系女子。
伊勢さんからは「志摩が最強女子」とまで言われる。
女の子が好きだけど、伊勢さんは微塵もタイプじゃない。
愛が重い系女子。

おわかりでしょうか。わかりますよね、というか、わかって。
伊勢さんと志摩さんって、まるっきり正反対なんです!
服装の好みも違えば、好きになる人も違う。仕事に対してのスタンスも、ぜんぜん違う。
そういう正反対の二人なんですよ。そのくせ、一緒にいて楽とか……百合好きを殺しにきているとしか思えません。

私も女子ですし、言いたいことはわかります。
女の子って、ほんとうに気が合う人とだと、趣味とか気にならないんですよ。
どうでもいいことを話して、どうでもいいことでも笑えて、一緒にいて、ただ楽。
そういう最高の関係が、女子の言う「気が合う」。
こんなん見つけちゃうと、人生すごく楽ですよ。男のこともスパイスみたいなもんになりますから。
そんな簡単に見つからないのが、いちばんの難点ですね。

学生のころは違いますよ。
その頃は、自分がどんなタイプかも模索している時期です。
似たような女の子同士が集まって、ワイワイガヤガヤします。
ワイワイガヤガヤしてるうちに、趣味が同じでも、気が合う合わないがわかってくるものです。
そして、グループ内でもいろいろ派閥ができると。

女子って面倒くさいでしょ?
それでも、グループができることで、安定する部分も確実にあります。
思春期ってただでさえ、色んなことがある時期ですから、面倒くさいこと(人間関係)は最小限にしたいわけです。

そうやって見過ごされた、ほんとうに気が合う人。それが伊勢さんにとっての志摩さんで、志摩さんにとっての伊勢さんなわけです。
いや、素晴らしい関係ですね。

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(C)伊勢さんと志摩さん/トクヲツム

何やっても受け止めてくれる。
何やっても笑ってくれる。
遠慮なく言いたいことを言い合える。
そんな関係に癒やされたいなら、絶対『伊勢さんと志摩さん』を読むべきです。


3、百合って欲しいような、このままでいて欲しいような絶妙なバランス感覚

百合を紹介するブログで、「何を言ってるんだ」って話ですが。
『伊勢さんと志摩さん』に関しては、このタイトルが本心です。

「ルームシェアしてるんだし、気も合うんだし、付き合えばいいじゃん!」という天使と。
「いやいや、気が合うのと、恋愛は別。大体、伊勢さんはストレート」という悪魔が戦っています。
どっちが、悪魔の意見なんだかわからないって?
読んでる人によって、天使にも悪魔にもなる。それが多様性ってやつなんじゃないでしょうかね。
ここらへん、難しい問題なんで、そっと置いておきます。

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(C)伊勢さんと志摩さん/トクヲツム

百合って、難しいジャンルですよね。
ただ付き合えばいいのかといえば違う。男と付き合ってても、本命は別みたいな百合マンガ山程ありますから。
「じゃあ、結局、ぜんぶ友情?」
いや、それもまた違う気がする。

「付き合っちゃえばいいのに!」って強く思えるくらい絆が強い二人が付き合ってない。
それでも一番信頼しているのは、お互い……みたいな関係が、ひじょーに、萌えるんですよ。

これって、伊勢さんと志摩さん、そのまんまじゃないですか。
だから、付き合ってほしいかと言われると、難しくなるんです。
付き合ってくれたら、そりゃ、嬉しい。
でも、付き合ってなくても、あんなに萌えるんだから……。

あ、ダメだ。これ結論がでないやつ。
こういう、バランス感覚が『伊勢さんと志摩さん』は、すっごく絶妙です。

とくに学生時代の話に注目してください。
もうね、学生時代は、百合にしか見えないんですよ!

お互い、気が合うのもわかってるし、もっと話したいとも思ってる。
それでも、委員会が一緒になったのが、3年の後期で時間がない。
だから、関係を始めることはしないでお別れにする。

……こんなん、学生百合の王道でしかない!
こんな学生百合が、社会人になって再会して、ルームシェアするんですよ。
期待しないわけがないじゃないですか。

本編の、楽しいふたりのやり取りで、ニヤニヤして。
学生時代のやり取りで、ニマニマして。
妄想の余地さえ残してくれるんです。
百合好きに優しい作品です。
ほんとうに、ありがとうございます。


まとめ


このごろ百合は変換期を迎えている気がします。
恋愛から、それを超えたものへの変換期。

百合って、もともと他のジャンルに比べて、含む部分が大きいです。
友情も、主従も、先輩後輩も、お互いが思い合ってると成り立ってしまうのが、百合。
今までは、百合自体が注目されていなかったから、わーっと恋愛の百合が増えました。
これはすごく嬉しいことです。

今まで、よくわからない理由で、よくわからない男に、横取りされていた関係にスポットライトがあたったってことですから。
妄想でしか補えなかった部分が、商業できちんと描かれるのは、すごく嬉しいです。
贅沢なんですけど、そのせいで、恋愛以外の百合がすごく少なくなったように思えます。

例えば、ライバル関係とか。今の作品だと、すぐに懐柔されちゃうわけです。
仲が良いのは嬉しいんですけど、ライバルはライバルの良さがありました。
このごろ、そこらへんが、また復活してきている気がします。
恋愛以外でも、人間関係いろいろあります。
恋愛しかないのは、それはそれで寂しいもの。

『伊勢さんと志摩さん』がそれを端的に表しているんじゃないかなぁと思える、今日このごろでした。
この感覚を共有したいので、ぜひ興味が湧いたら読んでみてください!



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