内容

「欠けた月とドーナッツ」の雨水汐さんの短編連作です。
その時点で期待しかありません。
内容は6作品。
社会人百合と学生百合で半々ですよ！




学生百合はキラキラしてて、社会人百合はグッとくる。
その後が描かれた書き下ろしもあります。

感想

◯学生百合のキラキラを詰め込んだ作品

学生百合の良さは、繊細さですよ！
キラキラしてて、ふわふわしてて、そのくせチクチク刺さる。
好きすぎて傷つく……そんな関係の学生百合が大好きです。

この作品集に入っている学生百合はキラキラ感が強い！
学生のころって感情の振り幅が大きくて、あっちこっちにぶつかりながら丸くなります。
そのぶつかった部分が、キラキラしてるんじゃないかと思う、今日この頃。

特にこのシーンね。



女の子って、可愛いものが好きです。
好きだから可愛いものを作りたい、服も人も。

自分の一言で、地味だった子が可愛くなるのは、嬉しいんです。
自分が見つけたものが、有名になる感覚。
「この子の可愛さに気づいてたのは、私よ！」って奴ですよ。
でもね、その結果自分が近づきにくくなるのは嫌なんです。寂しさとか嫉妬とか、色々なものが混ざった複雑な関係。

この複雑でぶつかりあう関係が、キラキラ感を強くします。

さらに、女の子はお姫様に憧れるもの。(一部例外は除外)
憧れてるから、お姫様っぽいものを見つけたいし、作りたいし、なりたいわけです。
でもなりたいから、なれるってわけじゃないんですよ。

お姫様には2つあります。
見た目と中身です。
キラキラした見た目はどうにもなりません。
化粧やら何やらで近づけますが、キラキラ感って他人に感じるもの。
自分で感じられないんです。

中身がお姫様は、いわゆる好きなものに囲まれる状態です。
好きなものばかりの世界にいるお姫様状態。
こっちはいくらでも努力できますね。

さてここで、問題です。
見た目お姫様は、本当にお姫様になりたいのか。
見た目だけに惹かれて、迎えに来てくれる王子さまより、自分を変えてくれた魔女を好きなお姫様がいても可笑しくない。
いや、いてしかるべし！ですよ。



そう信じれるシーンです。

学生百合の良さは繊細さ！
感じていただければ幸いです。

◯カッコいい子は王子になりたいのか？


さて、王子ですよ。お姫様のあとは王子です。
女の子全部がお姫様に憧れるわけじゃない、と言ったすぐ後ですが、こんなことを言います。

女の子は基本的にお姫様になりたいんだよ！

いや、私自身は自分の格好より、可愛い女の子がいてくれるほうが癒やされるので嬉しい人間なんですが。

良くも悪くも、人間は見た目に左右されます。
お姫様みたいな見た目の子には、お姫様みたいでいて欲しい。
王子さまみたいな見た目の子には、王子さまみたいでいて欲しい。
いわゆる期待です。




私も可愛い子には、可愛い格好をして欲しいし、格好いい子には格好いい格好をして欲しい。
だって、その方が生きる気力が満たされるから！
百合分補給と一緒ですよね。

でもね、ここに問題があります。
カッコいい格好が似合う女の子が、全部王子さまになりたいわけじゃないと思うのよ。(私はキャーキャー言われるならしたいけど……いかんせん、似合わない)
背が高くて、男顔で、男装が似合う子って一定数いるんですよ。
クラスに一人くらいはいませんか？
ショートカットで、すらっとしていて、そこらの男より学ランが似合うような人。

特に日本はジャニーズみたいな男の子が持て囃される国です。
そりゃ、思春期前の女の子が王子さま扱いされますよ。

それでも、そんな子が王子さまになりたいわけじゃない！

そこを上手く切り取って百合にしてくれました。
王子さまみたいな格好いあ女の子でも、お姫様になりたいんです。
そして、自分をお姫様にしてくれるなら、相手は女の子でも構わないと私は思います。




この書下ろしが、また堪りません！


◯気持ちを隠したままの友情からのカミングアウトな社会人百合


これ、あるあるですよ！
社会人百合あるある。

このままでもいい、とか言いつつ、良い男がいたらさっさと結婚するのよ。
そういうもんです、女の子って。
良くも悪くも現実的なところがあります。というか、人生を楽しめる人ってそうなんだと思う。

この話のふわ子はまさしくそんな感じの女の子です。
誰にでも気を持たせるのが上手な存在です。女にも男にも受けが良いタイプですね。
どんどん仲良くなって、相手にその気がなくても、楽しくなっちゃうんですよ。
でも、それを超えるとしんどくなる。




で壊したくなる。
この作品が凄いのは、ここから！

壊したあとも、友達でいたいって言えるんですよ。
ふわ子凄い。
そして、それに乗れる主人公も凄い。
私には想像しただけで無理なんですけど！

仲良くなった女の子を好きで、叶うわけないのに気持ちを捨てきれないって……百合の切なくなる王道パターンです。

そのうえ、描き下ろしで結婚式の前の日の話が……。
もう泣けるどころの話じゃない。
どんな感情で電話してるんですか、あなたたち。
すごいよ。ほんと凄い。

楽しかったから、この恋にありがとう。って言える主人公を尊敬します。
人として立派。
ちゃんと気持ちを整理して、好きな人を綺麗に見送れるって憧れる。
いや、すごい。……ほんと、すごい。
語彙力がなくなるほどの、凄さを感じて欲しい。
そして、このモヤモヤ感を共有して欲しいです(笑)

まとめ

読まなきゃ損な一冊をご紹介しました！
学生百合も社会人百合もある。
ハッピーエンドも切ないのもある。
さらには、女の子がとても可愛い！

読まなきゃ損な理由、わかりましたね？

この本を読んで百合生活を充実させてください。






〇オスス記事
・ずっと見ていたくなる社会人百合→
・学生百合の気分を味わえる社会人百合→


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