百合アニメ入門で「スイートプリキュア」を紹介しました!
実はスイプリ、プリキュア15周年記念ということで小説が出ました。
それがこちら!
いやー、この年になって出張の合間の駅でこんな本を買うなんて。
そういう衝動に駆られてしまうほど「スイプリの魔力」は強いのであります。
ということで新幹線で読破したので、勢い感想を書きたいと思います。
*注意
前半は真面目な感想です。
後半はやはり百合的な感想に。
自分の興味があるところまでお読みください。
小説「スイートプリキュア」とは?
さて、さてさて、皆さん、買いましたよ、ついに。
プリキュア15周年記念
11/21発売 小説「スイートプリキュア」
アニメ前半の脚本家である大野さんが書いております。
まだまだ、レビューが少なかったため恐る恐る読ませていただきました。
紹介文ではまるで王子先輩に響と奏が恋してるみたいな表現があったので、びくびくでした。
スイートプリキュアはメインの年齢が14歳ですし、
小説版の舞台はさらに一年後なので15歳。
色々難しくなる年頃です。
アニメでは色恋をほとんど匂わせず、終わっていたので、その分不安が残りました。
そして何より
「響の一人称」
この言葉が怖くて仕方ない。
響という人物は非常に面倒くさい。
男勝りなところもありますが、あんなちっちゃなことで一年間親友と喧嘩を続けられる人ですよ?
それに付き合う奏もまた違う意味で意地っ張りというか、面倒くさい。
この二人の面倒くささがスイートプリキュアの味であり
と同時に
スイプリが肌に合わない!
と言われる由縁でもあると思います。
〇あらすじ
ドイツへと留学を控えた響は周りの友人たちが変わっていく不安に襲われる。
送別会での奏との連弾もうまくいかず、むしゃくしゃしていた。
そんな中、ピアノを教えてもらっていた王子先輩が行方不明となる。
それを機に疑心暗鬼に包まれる加音町。
原因を探し始めるが、響は仲間たちを信じることができない。
そんな中、原因はヴァニッシュだと判明する。
しかもヴァニッシュは誰かに取りついているという。
疑心暗鬼が深まる響。
段々と人が消えていく町で、響は事件の謎に迫る。
・
・
・
最終的には全て解決して、ドイツへと響は旅立ちます。
〇まずは真面目に
・予想通り、響の一人称、辛い
・思春期にありがちなモヤモヤをうまいこと表している
・読了感はあまり爽やかではない
こんな感じですね。
響の一人称のため、視点は全て響です。
そして内面がわかるのも響だけのため、イライラウジウジが段々疑心暗鬼につながるまで、しつこいくらい書いてくれています。
ええ、ぶっちゃけると爽やかな気持ちになるために読んではいけない本だと思います。
10章のうち爽やかになれるのは最終章だけという非情っぷりです。
しかも、そこまでの内容が、響の疑心暗鬼のみ。
スイプリが好きな人じゃないと最終章までたどり着くのさえ大変かもしれません。
爽やかな感動を求めずに、地道に響が成長する一過程を見ているくらいの気持ちで見れば興味深い本です。
響が周りを見るとき、地元を感じるとき、どういう感性を持っているか。
その一端を覗き見ることができます。
・話の展開が急
なんで、どうして、そうなったのか、あまり深くは触れられていません。
元々が幼児向けっていうのもあるかもしれませんが、それにしても、これはちょっと。
最初らへんで響が遊びに誘って、皆から断られるシーンがあるんですけどね。
いや、行ってやれよ。それくらい。
と思うくらい冷たいんですよ。
そりゃ、響じゃなくても、あんだけ断られたら少しは悲しくなりますよ。
響の感情しか追えていないので、情報が少なすぎるんですよね。
なんで断ったとか、全然わからない。
だから、共感もできない。
ただの冷たい友人に思える気もします。
情報も周囲の事はほぼなし。
人間関係とか、どう思ったとかそういうものになります。
ぶっちゃけ、すごい二次臭がした。
(この脚本家さん大好きですけど)
アニメで解消されなかった続きを考えてみました!という感じがする。
いや、続編だからそれで正しいんでしょうけど。
あまりエンターテイメントというか、読者の楽しさは二の次な雰囲気があります。
「スイートプリキュア」という物語を完結させるために書かれている、という気がとてもします。
だからこそ、小説というじっくり味わえる媒体で良かったのかもしれません。
・スイートプリキュアを深く知るには良い
スイートプリキュアを好きな人間が、スイートプリキュアという世界を深めるために読むんだったら一押しになります。
ああ、こういう人なんだ。
ああ、こういう風に響は思ってるんだ。
と人に対する考察は深められます。
関係性も、文字になるとはっきりしますしね。
それでも小学生とか中学生には難しすぎる本ですね。
これは間違いなく、大きなお友達である私たち向けの本だと思われます。
公式は「ひびかな」なのか?
さて、ここまでいわゆる前座でございます。
ええ、いくら真面目に小説レビューをいたしましても、私たちの目的はそう!
この小説によって、「ひびかな」は公式になったのか?否か?!
この一点に尽きると思います。
「ひびかな」
百合入門アニメでも紹介しましたが、アニメ放送時点で百合夫婦と言われていた二人です。
映画も含めると、もう結婚しているんじゃないかとまで思わせる二人でした。
いわるゆ「公式が最大手」状態です。
ここにきて、この小説。
よりによって一年後の話で、しかも、響がドイツ留学とか!
どんだけ、二次でこの設定の小説を読んだことかっと憤りたくなります。
まぁ、二人の夢が
響:ピアニスト
奏:パティシエ
な時点で留学は、どちらにしろあり得る話です。
だがしかーし、ここで触れたいのはそこではない。
・やっぱり当て馬「王子先輩」
王子先輩といえばアニメでも奏の憧れの先輩として度々登場していた人物であります。
格好良くて、優しい、まさに憧れの先輩にあてはある人物です。
女の子らしい女の子である奏はミーハーな性質も加わって、よく目をハートマークにしています。
その王子先輩が、なんと響にピアノを教えているではありませんか。
しかも、響が恋してる?!
と焦ったのもつかの間、最終的には奏に対する当て馬でしかありません。
(なんか、この展開見たことある)
その上、最終的には奏にさえ振られています。
・最後に残るのはひびかな
今回、最大の百合ポイントといいますか。
注目ポイントなんですが。
人がどんどん消えていく加音町で、最後に残ったのは響と奏でした。
この時点で、もう公式ひびかなでいいんじゃない、と思いました。
このブログのタイトルじゃないですが、補完計画かと少し突っ込みそうに。
人がどんどん消えていって最後に残る二人って意味ありげでしょ。
しかも、この事件を起こしていたのは響なわけですから。
響が「自分を悲しませる人間」を順番に消しているのだとしたら。
奏は最後まで消せなかった人=最後まで信じていた人
ってことですよ。
親とかいつの間にか消えているくらいの扱いなのに。
この事件を引き起こした切っ掛けも奏
それでも最後まで信じていたのも奏
気持ちを通い合わせたのも奏
響さん、奏の事好き好きでしょ!!!
もう、公式に萌え殺される日も近い気がします。
・奏の告白
上からの続きでありますが、奏告白しています。
最終章で。
「今は正直、響と一緒にいるほうが好きだよ」
びっくりした。
あまりにさらりと言っていくからびっくりした。
たおやかな奏さんは本当にすごい。
長年百合脳していた私でも、びっくりするくらい告白だったよ。
いや、さすがに恋愛の~とか付きませんけどね。
それでも実際「好き」と「(男といるより)あなたと一緒にいるほうが好きだよ」と
そんなことを言ってくれた一般アニメのキャラがいただろうか?
いや、いない。
響は結構、好きって口に出すんですよ。
そういう性格だからっていうのもあるとは思うんですが。
大切なことほど確かめたい。確認したい。っていうのが、彼女は強いから。
でも奏は逆なんですよ。
大切なものほど口に出したくない。隠しておきたい人なんです。
皆と一緒に騒げるから王子先輩にはキャーキャー言っているわけです。
そんな奏が、奏が、言うんですよ!
映画の変身後の「ひびきー!!」名前呼びと同じくらいの衝撃です。
いやはや、長生きしてよかった、百合を諦めないでよかった。
ついに時代はここまできたか。
と、感慨を覚えそうなほどです。
・おまえら成長してない
この小説何回も言いますが、響の成長物語です。
それに間違いはありません!
ですが、あえて言います。「ひびかな」は別です
お前ら、やっぱり、成長してないじゃん!
考えてみてください。
スイプリの始まりは、ひびかなの二人が、二人とも約束を守っていたのにすれ違っていたからです。
普通に考えて親友だったら聞きますよね?
一言、どうしたの?って。
それだけでいいんですよ。それができない二人なんですよ。
プリキュアになって、色々あって、百合夫婦みたいになりましたが。
今回も同じじゃない?と思ってしまったのです。
響が奏に構ってもらえなくて拗ねて。
そこに奏の送別会のミスが重なっちゃって、こじれて。
雪だるま式に悪くなるわけです。
しかも、これ、奏が練習行きたくなかったのって、王子先輩と練習している響を見たくなったみたいに読み取れる文章があったり、なかったりします。
大体、響が奏を怒ったのだって、
記憶を無くすくらい、我慢してた奏への想いが出ちゃったからでしょ?
記憶を無くすくらい、我慢してた奏への想いが出ちゃったからでしょ?
もう「どんだけ、ひびかな公式」と思うこと間違いなしです。
結局、プリキュアに変身して戦いながら思いの丈を吐き出し、仲直りするわけです。
〇結論
公式もやっぱりひびかなだった。
最終的に、響はきちんとドイツに旅立ちます。
その時にも仲直りした奏とデートして、気持ちを確かめあって、大丈夫だ!と旅立つわけです。
いやいや、響さん、奏さんのk(略
うーん、物語を楽しむには少し難しい文庫ですが
ひびかなを愛するのであれば、読まないわけにはいかない本であると思います。
百合みを探すにしても、結構な忍耐力がいるので上級者向けです。
ひびかなを探しつくして、満足できなくなり、それでさらに萌えを探してしまうアナタには買うべき商品でしょう。
*ファス*