星の数ほどある百合アニメ。
その中でも、もっとも衝撃的だったものは何ですか?と聞かれれば。
私は「神無月の巫女」を挙げます。
「CANDY BOY」
「青い花」
「ささめきこと」
「ストロベリーパニック」
「マリア様がみてる」
「桜Trick」
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百合アニメは数あれど、衝撃具合で「神無月」を越えた作品はまだありません。
今日は、珍しく真面目に「神無月の巫女」に迫ってみたいと思います。
*注意
独断と偏見含みまくりです
寛容な方のみお進みください
神無月の巫女とは?
2004年に放送されたアニメであります。
漫画も出ておりますが、漫画とアニメではエンディングや細部が若干違います。
原作者は介錯さん
主題歌はKOTOKOさん
百合ソングでも取り上げましたが「agony」は未だに百合ソングとしてトップを走り続けています。
(→百合ソング入門)

(オープニングのジャケ写)
・あらすじ
剣神・アメノムラクモとその巫女によって封じられた邪神ヤマタノオロチが復活する。
アメノムラクモの今代の巫女である「姫子」と「千歌音」の命を狙うオロチたち。
姫子の幼馴染であり、オロチでもある「ソウマ」は姫子への恋心と、姫子の巫女の力により巫女側でオロチと戦い始める。
惹かれあう姫子とソウマ。
そしてずっと姫子を想っている千歌音の寝返りの真意は?
・声優
姫子の声が下屋則子さん
千歌音の声が川澄綾子さん
いやー、とっても豪華です。
この二人で、あんなに百合百合な世界が繰り広げられるとは幸せの一言に尽きました。
このアニメへの力の入れようがわかるとというものです。
またDVDの特典として、声優によるコメンタリーがついており、それを聞きながらアニメを見ることでまた違う楽しみが生まれます。
百合アニメ界の伝説
神無月の巫女(以下、神無月)はおそらく地上波で初めてヒロイン×ヒロインでの凌辱シーンがあるアニメです。
「……え?」(ドン引き)と思った方、このアニメを見てはいけません。
神無月が2004年という古いアニメでありながら、今も百合界の伝説となっているのは、そういうことです。
ヒーロー×ヒロインの話を進めつつ、ヒロイン×ヒロインの話が着々と進みます。
そして物語の中盤で、伝説のヒロイン×ヒロインでの凌辱シーンがあり、そこから話はヒロイン×ヒロインへ走り去っていくわけです。
初めて見た時の衝撃と言ったら、もう……。
・え、ヒーロー落ちじゃないの?百合落ち?
・え、ヒーローかませ犬過ぎない?
・え、殺し合い?愛し合い?
・え、それで永遠まで誓うの?
疑問符の乱舞で、話が理解できなくなります。
そのまま、もう一度最初から見て。
これは最初から「長い因縁を持つ巫女二人の話」を書いているんだなと腑に落ちます。
ちなみに私は最後らへんの惚気殺し合いが恥ずかしすぎてまともに見られなかった人間です。
あそこまで情熱的な百合告白をアニメで見たのは初めてでした。

1、姫子というヒロイン(主人公)
姫子は最初から最後までヒロイン(ヒーローの相手役)です。
何も知らず健気に生きる古典的ヒロインだと思ってください。
王子様とかを本気で夢見るヒロインです。
そんなヒロインが、いい仲になったヒーロー(もどき)を振って、最愛の人=千歌音ちゃんの元へと走るのです。
王道をずっと走ってきたつもりが、ずっと隣のパラレルワールドを走っていた気持ちになります。
ですが、違います。
最初から「千歌音のことを好きな姫子が、ソウマに惹かれたりしつつ、千歌音ちゃんの大切さに気付く話」なんです
姫子にとってのヒーローは最初から千歌音なんですよ。
そこに当て馬ソウマが来て色々話を混ぜるわけです。
「千歌音ちゃんの姫子になりたい」
このセリフにすべては込められている気がします。
2、千歌音というヒーローまたはヒロイン

ヒーローとかヒロインは世界に対する英雄です。
個人のものじゃない。みんなのもの。
千歌音も一応月の巫女として姫子と一緒に世界を救います。
ヒーローという言葉は間違っていません。
間違ってはいませんが、あってもいないと思います。
千歌音の主目的はあくまでも「姫子を救う事」です。
世界は二の次。
・姫子が生きて幸せになってくれればそれでいい。
・自分が不幸になろうと、どうなろうとかまわない。
そういう自己犠牲が強い愛情がそこにはあります。
強い愛情が暴走した結果。
・姫子の処女を奪う
・姫子の敵になる
・姫子の敵を殺す
といった行動をしてしまうわけです。
これだけ強い愛情なのに、姫子に全然気づかせなかった千歌音ちゃんは精神力の塊なんだと思われます。
3、ソウマというヒーロー
ある意味、神無月の名物ともいえる人物です。
男一人と女二人だったら「マクロス」みたいに男一人をめぐる三角関係だと思いますよ。
誰も
「ソウマ→姫子⇔千歌音」
だなんて想像もできません。
百合脳が見せた夢です。
夢が現実になるのですから、神無月は百合アニメの伝説となっているのでしょう。
彼の登場により有名になったセリフといえば
「俺にできるのはせいぜい地球を救うくらいだけど」
地球を救うことが二の次になった瞬間です。
ヒーローがこんなセリフを口にするロボットアニメがあっただろうか。
姫子第一で、上のようなセリフまであるのに、報われない。
姫子と千歌音の仲を応援する。
ソウマのキャラクターはまさに百合っぷるを応援する理想的なキャラクターかもしれません。
*ファス*